「お留守バンシー」の感想!死ぬまでに住みたい異世界のお城ランキング第一位

お留守バンシー

むかしむかしといってもそれほど昔ではない、科学が迷信を駆逐しつつあった19世紀中頃。かつては人々に恐れられた闇の眷属も、今ではわずかとなった聖域にこもり、ひっそりと暮らしていました。東欧の片田舎にあるお城もそんな聖域のひとつ。そこの住人たちは、実は人間ではありません。見た目は可愛らしい女の子アリアも実はバンシーという妖精。彼女は気のいい同僚たちと慎ましくも平穏な生活を送っていたのです。そんな時、アリアはご主人様から大事な役目を与えられました、それは…。とっても長く大騒ぎのお留守番、はじまりはじまり~。第12回電撃小説大賞受賞作。

 


ファンタジーの世界で日常系を描いたほのぼのコメディ


電撃大賞を受賞した作品を片っ端から読んでた時に出会いました。第12回の大賞を受賞した作品です。第12回と言えば「狼と香辛料」の支倉凍砂さん「神様のメモ帳」の杉井光さんがデビューした回でもある。今となっては後者二人の方がライトノベル作家として活躍しているが、その二人を抑えて堂々の1位をとったのがこの作品。結論から言うと、電撃文庫っぽくない作品で日常系ほのぼのコメディ。

にも関わらず大賞を受賞したという点からも、いかにその完成度が高いかが伺える。これはもう読んでみないと分からないけど、正直言ってめちゃくちゃ面白かった。何よりキャラクターがみんな個性的で一度読んだら忘れない。長所と短所のバランスとかギャップを盛り込んだ設定が絶妙で印象的だった。

特別大きな事件が起こるわけでもなく物語の起伏にも乏しいものの、まったく飽きること無く最後まで読み進められたのはキャラクターあってのことだと思うのです。このキャラクターたちが次に何をするのか気になってしまう、そんな読者の好奇心をそそるほど一人一人が魅力的に作り込まれていました。

ストーリーの大筋は、城の主であるブラド卿がオルレーユ城を空ける間、主人公であるメイドのアリアがお留守番をするというもの。本当に最初から最後までそれだけの物語。でも城の中にはたくさんの不思議な仲間たちがいて、首なし騎士(デュラハン)がいたりサキュバスがいたりガーゴイルがいたり。

もちろんアリアも人間ではなく妖精のバンシーという設定です。リビングデッドの庭師もいるし、魔女も出てくる。更にはそういった闇に住む者たちを追い続けるクルセイダーというバチカンからの刺客が現れたり。これだけ多種多様なキャラが登場するのに捨てキャラがいなかったのはさすがの一言です。

 


一生懸命だけど周りに振り回されまくるアリアが可愛い


主人公はライトノベルでは珍しい女の子で、このアリアがお城で最も発言力のある古株なわけですが、他のキャラ達が基本やりたい放題なので散々振り回される。それはもう見ていて可哀想なくらい。その度に「もう!どうしていつもそうなのよ!」と愚痴をこぼしながら一人で黙々と後始末をしてくれる。

 

アリアさんお願いです。一生養うから僕のお城(マンション)に来て下さい。

 

これこそ究極のメイドさん!というものを僕はこの作品で見させてもらった。学生時代に友達と秋葉原のメイド喫茶に行ったことがあるのだが、正直言って何も感じなかった僕です。メイドさんという属性にはさして興味がありません。ご主人様に媚びて萌え萌えするのがメイドさんみたいなイメージがあるけど、本来はそうじゃなくない?というのが僕の考え。実際お店で萌え萌えされた時はまったく着いていけなくて終始半笑いだった気がする。友達は楽しんでたけどね。

 

いつかこんなお城でのんびり暮らしたいなぁ。

 

死ぬまでに生きたい世界の絶景という本がバカ売れしたのは記憶に新しいですが、もしそのお城版を作るなら1位は絶対このオルレーユ城だと言いたい。誰も作ってくれないなら僕が勝手に作っちゃうけど何か質問ある?ってスレが立ちそうなほどだ。ちなみに世界の絶景シリーズはまるで異世界だった。

 

 

小さい頃「美女と野獣」がめちゃくちゃ好きで毎日のように見てた僕ですが、この作品を読んでてお城の雰囲気とかイメージが近かったように感じます。ディズニーの方がちょっと薄気味悪い感じだったけどね。キャラがユニークなところはディズニーっぽい作品でした。電撃大賞の受賞作で一番好きです。

この作品もう新品ではどこ行っても見つからないので、ブックオフを走りまくって買いました。でもどこにも売ってなくて結局ヤフオクで手に入れたんですけどね。たぶん探そうと思ってもなかなか見つからないと思う。何気にそういう小説は多い。あまり知られていないけど超面白い名作シリーズでした。

 

 


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